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横浜地方裁判所 昭和52年(ワ)1203号 判決 1982年5月21日

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは原告に対し、別紙物件目録記載の各建物(以下本件各建物という。)を収去して、同目録記載の土地(以下本件土地という。)を明渡せ。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、本件土地の所有者であるが、昭和九年一二月一四日、これを被告桜庭彦治(以下被告彦治という。)に対し、次の約定で賃貸した(ただし、賃貸面積は、契約当初九二・二八坪であつたが、その後一〇七・六五坪となり、更に現在の一一〇・一四坪<三六四・一三平方メートル>となつた。)。

(一) 賃貸期間    二〇年間

(二) 賃料     年額一五〇円

(三) 目的     普通建物所有

(四) 附則 (1) 右建物には、被告彦治の一家のみが居住すること

(2) 無断で、譲渡、転貸をしないこと

2  原告と被告彦治の間の右契約は、昭和二九年一二月一四日、更新(期間二〇年)された。

なお、昭和三八年一月一五日までの間に、建物の無断増改築禁止の特約がなされ、その後被告桜庭鈴子(以下被告鈴子という。)が連帯保証人となつた。

3  原告と被告彦治の間の右契約は、昭和四九年一二月一四日、更に更新(期間二〇年)された(以下本件賃貸借という。)。

4  第一次解除

(一) 原告と被告彦治の間に、昭和五一年一二月二〇日、次の内容の宅地調停が成立した。

被告彦治は原告に対し、更新料として、一〇〇万円の支払義務があることを認め、これを、次のとおり支払う。

昭和五一年一二月末日限り    五〇万円

昭和五二年三月末日限り     五〇万円

(二) 被告彦治は、第一回分割金の支払いはしたが、第二回分割金の支払いを怠つた。

そこで、原告は被告彦治に対し、昭和五二年四月四日到達の書面をもつて右書面到達の日から三日以内に右金員を支払うよう催告し、同年四月一〇日到達の書面をもつて本件賃貸借を解除する旨の意思表示をした。

5  第二次解除

(一) 被告彦治には、前項の債務不履行のほか、賃貸人の信頼を破壊する次のような不信行為があつた。

(1) 被告彦治は被告鈴子に対し、昭和三八年二月八日までに、本件土地の借地権を無断で、譲渡もしくは転貸した。

すなわち、別紙物件目録(一)の建物(以下本件建物(1)という。)につき、昭和三八年二月八日、被告鈴子名義の所有権保存登記手続が経由されているが、原告にはなんの説明もしていない。

(2) 被告彦治と被告鈴子及び訴外桜庭慎吾(以下訴外慎吾という。なお、三名を併せて被告等という。)は、相謀り、昭和三八年二月(二階部分八・一〇平方メートル)と七月、原告に無断で、本件建物(1)につき、増改築を行なつた。

右増改築は、間貸しのためのものであつて、この点においても約定違反がある。

右増改築の経緯等は、次のとおりである。

(一) 原告は、昭和三八年夏ころ、被告彦治から、本件建物(1)につき増改築の承諾を求められた(この時には、既に土台石が敷かれていた。)が、増築建物が原告の長男宅に接近することや、増築の目的が間貸しのため(原告は被告等に対し、好意で原告の専用通路の通り抜けを許していたが、右通路は原告の長男宅に接しており、間借人までもが通行すると、なにかと支障が生ずるほか、不用心になる。)、これを断つた。

(二) ところが、被告等は、相謀り、原告の口頭及び文書による中止要請も聞きいれず、増改築を完了した。

(三) これがため、原告の危惧は現実のものとなり、原告とその家族は、重大な影響を受けている。

(3) 被告等は、相謀り、昭和五〇年一二月七日ころまでの間、原告に無断で、別紙物件目録(二)の建物(以下本件建物(2)という)を建てた。

右建物は、隧接地との間に民法二三四条に定める間隔をとつていない(西側で一五センチメートル、南側で三〇センチメートル)。

(二) そこで、原告は被告彦治に対し、昭和五二年一〇月二八日付準備書面に基づき、同年一一月一四日施行の本件口頭弁論期日において、本件賃貸借を解除する旨の意思表示をした。

6  第三次解除

(一) 被告彦治には、前記のほか、賃貸人の信頼を破壊する次のような不信行為があつた。

(1) 本件建物(1)の建築確認申請は、訴外慎吾名義となつているから、被告彦治と被告鈴子が相謀り、訴外慎吾に対し、借地権の(再)転貸もしくは(再)譲渡をしていることになるが、被告彦治は原告に対し、承諾を求めることはおろか、なんの説明もしていない。

(2) 原告は被告彦治に対し、本訴において、本件各建物の所有権の帰属について釈明を求めているが、被告彦治はこれに誠実に答えようとしないばかりか、これを殊更秘匿・隠蔽しようとするなど、およそ賃借人にあるまじき態度をとり続けている。

(3) 被告彦治は原告に対し、前記のとおり、本件建物(1)の増改築の目的を、間貸しのためとして承諾を求めたが、本訴においてはこれを否定しているから、本訴における主張が事実なら、この点においても被告彦治は原告を欺いていたことになる。

(4) 被告彦治は、賃料の支払いをしばしば怠つた。

(二) そこで、原告は被告彦治に対し、昭和五四年五月二五日付準備書面に基づき、昭和五四年六月二九日施行の本件口頭弁論期日において、本件賃貸借を解除する旨の意思表示をした。

7  被告鈴子は、前記のとおり、本件各建物を所有し、本件土地を占有している。

8  よつて、原告は被告彦治については、所有権及び契約解除による原状回復請求権に基づき、被告鈴子については、所有権に基づき、請求の趣旨記載の判決を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は、(四)の(1)の特約を除き、概ね認める。ただし、本件土地には、訴外阿部柳一の土地(横浜市中区本牧元町三一四番一〇)が含まれている可能性がある。

2  請求原因2の事実は、概ね認める。ただし、被告鈴子が連帯保証人になつたのは、昭和二九年一二月一四日からである。

3  請求原因3の事実は認める。なお、被告鈴子は、昭和四九年一二月一四日の契約更新に際し、共同賃借人になつた。

4  請求原因4の事実は全て認める。ただし、調停の内容は、原告の主張に尽きるものではない。

5  請求原因5の事実のうち、(一)(1)のうち保存登記の事実、(2)のうち増改築の事実、(3)の事実及び(二)の事実は認めるが、その余の事実は否認する。

6  請求原因6の事実のうち、(一)(1)のうち訴外慎吾が確認申請をなした事実及び(二)の事実は認めるが、その余の事実は否認する。

7  請求原因7の事実は認める。

二  抗弁

(被告彦治)

1 所有権に基づく請求につき

被告彦治は、原告も認めるように、本件土地(ただし、原告からの賃借部分につき請求原因に対する認否参照)を賃借(ただし、昭和四九年一二月一四日の契約更新後は、被告鈴子も共同賃借人である。)している。

2 本件賃貸借解除に基づく請求につき

仮に、請求原因事実が全て認められるにしても、被告彦治には、次のような特段の事情がある。

(一) 前記宅地調停に際しては、次のような合意があつた。

(1) 被告鈴子を共同賃借人とする。

(2) 原告は被告彦治に対し、賃借地の範囲を明確にする。

(3) 訴外河野進が、被告彦治の賃借地に設置したブロツク塀の撤去につき善処する。

(4) 原告は、被告彦治が将来なす増改築を無償で認める。

(二) ところが、原告は右約定を守らない。

(三) そこで、被告彦治は、更新料のうち五〇万円の支払いを見合わせていたが、原告が解除を通告してきたので、昭和五二年四月一六日、原告に対し履行の提供をしたうえ、同月一八日これを供託した。

(四) 被告彦治が被告鈴子に対し、本件土地の賃借権を転貸もしくは譲渡するについても、昭和一二年四月ころ原告の承諾を得た。

しからずとしても、被告彦治と被告鈴子は夫婦であるから、原告の信頼を破壊するような性質のものではない。

(五) 本件建物(1)の増改築についても、昭和三七年一二月ころ、原告の承諾があつた。

なお、その際、被告彦治は原告に対し、本件土地の東側には窓を設けないことと、増改築部分につき買取請求権を行使しないことを約した。

因みに、本件建物(1)を増改築するについては、次のような必要性があつた。

(1) 公道に至る通路が、原告の一方的な行為によつて変更されたため、建物の構造上不便が生ずるに至つたこと

(2) 被告彦治と被告鈴子の子である訴外慎吾に所帯を持たせ、同居する必要があつたこと

(六) 本件建物(2)は、賃借当時に存した物置の跡に、設置した移動可能なプレハブの物置であつて、原告に対しなんらの不都合を与えるものではない。

(七) 被告彦治は、賃料を滞りなく払つており、誠実な賃借人である。

(被告鈴子の抗弁)

1 被告鈴子は、前記のとおり、本件土地の共同賃借人である。

2 しからずとしても、被告鈴子は、本件土地を被告彦治から転借している。

三  抗弁に対する認否

(被告彦治の抗弁につき)

1 抗弁1の事実は認める。ただし、被告鈴子は、共同賃借人ではない。

2 抗弁2の事実のうち、(三)の事実は認めるが、その余の事実は否認する。

(被告鈴子の抗弁につき)

1 抗弁1の事実は否認する。

2 抗弁2の事実は認める。

四  再抗弁

(被告彦治につき)

所有権に基づく請求につき

請求原因4ないし6各記載のとおり。

(被告鈴子)

請求原因4ないし6各記載のとおり。

五  再抗弁に対する認否

請求原因に対する認否4ないし6各記載のとおり。

第三  証拠(省略)

理由

第一  被告彦治に対する本件賃貸借解除に基づく請求について

一  請求原因事実について検討する。

成立に争いのない甲第一号証、第二、第三号証の各一・二、第四、第五号証、第六号証の一・二、第七ないし第一〇号証(第七号証については原本の存在とも)、第一一、第一二号証の各一・二、第一四、第一五号証、第一六号証の一ないし三(昭和五四年八月一二日当時の本件土地の通路付近の写真である。)、第一八、第一九号証、第二〇号証の一ないし三、第二二号証(原本の存在とも)、第二三号証の各一・二、第二四号証の一ないし三及び乙第三ないし第六号証(第三ないし第五号証については原本の存在とも)及び原告本人尋問の結果(第一、第二回)及び同結果により真正に成立したものと認められる甲第一三号証、第二一号証、被告彦治(第一、第二回)、同鈴子各本人尋問結果(後記認定に反する部分を除く。)によれば、以下の事実が認められ、以下の認定に反する被告彦治、同鈴子の各供述の一部は措信できず、他にこれを覆すに足る証拠はない。

1(一)  原告は、昭和九年一二月一四日、本件土地を被告彦治に対し、次の約定で賃貸した(この点は当事者間に争いがない。)。

(1) 賃貸借期間    二〇年

(2) 賃料       年額一五〇円

(3) 目的       普通建物所有

(4) 附則       無断譲渡・転貸禁止

(二)  原告と被告彦治は、昭和二九年一一月一四日、期間を二〇年とする契約更新を行なつた。

なお、この際もしくは遅くとも昭和三八年一月一五日までの間に、建物の無断増改築禁止の特約がなされるとともに、被告鈴子が連帯保証人に加わつた(この点は当事者間に争いがない。)。

3(一)  被告鈴子は、本件土地上にある本件建物(1)につき、昭和三八年二月八日、原告に無断で所有権保存登記手続をした(この点は、原告に無断であつたことを除き当事者間に争いがない。)。

(二)  被告等は、昭和三八年二月と七月、本件建物(1)につき増改築を始め、原告の中止要請も聞きいれず、これを完成した(この点は、被告等が原告の中止要請を聞きいれずこれを完成したことを除き当事者間に争いがない。)。

これがため、原告の家族は、被告等の家のトイレが近くなり、昼夜その音に悩まされるようになつたほか、間貸人をも置くようになつたため、その通行(原告の専用通路を近道として使う。)等により、少なからぬ影響を受けた。

(三)  被告彦治の賃料支払状況は、良好とはいい難く、しばしば遅れ、昭和三七年度には、一年以上(年頭に一年分を一括して支払う約であつた。)遅れたこともあつた。

(四)  被告等は、昭和五〇年一二月一〇日ころまでに、原告に無断で本件建物(2)を隣地に接近して設置した(この点は当事者間に争いがない。)。

4(一)  原告は、昭和四九年一二月一二日、同月一四日の期間満了に先立ち、更新料の支払いを請求したが、被告彦治が応じようとしなかつたため、昭和五〇年一〇月三〇日、調停を申し立てた。

原告が、更新料の支払いを求めたのは、被告彦治の前記無断増改築、借地権の無断転貸、もしくは譲渡を不問に付する代償という意味があつた。

(二)  原告と被告彦治の間に、昭和五一年一二月二〇日、被告彦治において、昭和五一年一二月末日限り五〇万円、翌五二年三月末日限り五〇万円を、更新料として支払う旨の調停が成立した。

(三)  被告彦治は、第一回分の分割金は支払つたが、第二回分の分割金の支払いは怠つた(この点は当事者間に争いがない。)。

(四)  原告は、昭和五二年四月四日到達の書面をもつて、三日以内に残金を支払うよう催告したが、被告彦治がこれに応ぜぬため、同月九日到達の書面をもつて、本件賃貸借を解除する旨の意思表示(第一次解除)をした(この点は当事者間に争いがない。)。

5  原告は被告彦治に対し、昭和五三年一一月一四日施行の本件口頭弁論期日において、前記更新料の不払い及び不信行為を理由に本件賃貸借を解除する旨の意思表示(第二次解除)をした(この点は当事者間に争いがない。)。

6(一)  被告彦治は、本件建物(1)の建築確認が訴外慎吾名義になつているのに、原告に対しなんの説明もしていない(この点は、確認申請が訴外慎吾名義であることにつき当事者間に争いがない。)。

(二)  被告彦治の応訴態度には、本件建物(1)の所有名義の帰属の釈明等に関し、賃借人としては些か不誠実なものがあつた。

(三)  原告は被告彦治に対し、昭和五四年六月二九日施行の本件口頭弁論期日において、前記更新料の不払い及び不信行為を理由に本件賃貸借を解除する旨の意思表示(第三次解除)をした(この点は当事者間に争いがない。)。

右認定の諸事実によると、被告彦治には、概ね原告主張のとおり、更新料の不払い(更新料を払う旨の合意は、主たる契約と密接な関係にあり、その不払いは、賃貸人に賃借人に対する不信感を生ぜしめるものであるから、解除権発生の重要な要素である。)、無断増改築及び無断転貸等の信頼関係破壊行為があることは明らかであるから、特段の事情がない限り、原告のなした第一次ないし第三次解除は有効と解される。

なお、原告は、本件賃貸借につき、本件土地上の建物は、被告彦治の家族だけが居住する旨の特約があつた旨主張するが、そのように認めるに足る証拠はない(原告本人尋問の結果によると、被告彦治の自宅のために本件土地を賃貸した事実は窺えるが、間貸しまでをも禁ずる合意が成立していたとは認め難い。)。

二  そこで、抗弁事実(抗弁2)について検討する。

成立に争いのない乙第一号証、第二号証の一ないし八(ただし、五の符箋を除く。)、第六号証、被告彦治本人尋問及び同結果により被告ら主張の写真であることが認められる乙第一一号証の一ないし四、原告(第一回)及び被告鈴子各本人尋問の結果によれば、

1  前記3(一)の事実によると、一応法的には、被告彦治から被告鈴子に対し本件土地の賃借権の転貸が行なわれたことになろうが、被告彦治と被告鈴子は夫婦であり、占有状態に変更はないこと、しかも、被告鈴子は、本件賃貸借の連帯保証人であり、原告において、共同賃借人とすることを望んでいたものであること

2  前記3(二)の事実によると、原告の不快・不信感はもつともであるが、被告等は、原告の要望を容れ、原告の長男宅を見下せぬよう出窓を塞いでいること、増築の程度も全借地面積に比するとさほど広くないこと、間貸人の(原告の専用通路の通行)問題についても、被告等において一応の配慮をしていること

3  前記3(三)の事実によると、被告彦治が誠実な賃借人であるとはいい難い(賃借人は、都合により、三か月ないし六か月もの支払い猶予を認めてきた賃貸人の寛大さに甘えてきた。)が、賃料の支払の状況は次第に良好になつていること

4  前記3(四)の事実によると、一応無断増築ということになろうが、本件建物(2)は、もともと建物があつた部分に設置された物置であり、構造もプレハブの簡易なものであること

5  前記4(三)の事実によると、原告をしていわせしむれば、信頼関係破壊行為の最たるものであろうが、被告彦治は、催告の期日からほぼ一〇日後には弁護士を通じて残金の提供をし、その供託をしている(この点は当事者間に争いがない。)こと、右遅滞は、被告彦治の不誠実さのあらわれには違いないが、被告彦治はこれまでの原告の寛大な態度に慣れ、ことの重大さを認識していなかつたと思われる(調停条項にも解除の規定はない。)こと

(なお、被告彦治は、調停に際し、抗弁2(一)(1)ないし(4)の条件が付されていた旨強弁するが、被告彦治のいい逃れ<良くみても誤解>であつて、そのような事実は認め難い。)

6  前記6(一)(二)の事実によると、原告が被告彦治に対し不快感・不信感を抱く理由は十分理解できるが、前記のとおり、被告鈴子は被告彦治の妻であり、訴外慎吾は被告彦治と被告鈴子の息子であり、占有状態に変更はないこと

(なお、被告鈴子から訴外慎吾に対し、本件賃借権の無断再転貸が行なわれたと認めるに足る証拠はないが、たとえそのような事実が認められたにしても、右に述べた事情が考慮されてよい。)

等の諸事実(被告彦治の抗弁2)が認められ、右認定を覆すに足る証拠はない。

以上によると、被告彦治には、前記認定のとおりの信頼関係破壊行為があり、賃借人として極めて遺憾な点があることはいうまでもないが、いまだ本件賃貸借における信頼関係を完全に破壊するまでの行為があつたとまではいい難い。

第二  被告彦治に対する本件土地の所有権に基づく請求について

一  請求原因事実は、本件土地の一部につき争いがあるほかは当事者間に争いがなく、抗弁事実(抗弁1)は、被告鈴子が共同賃借人であることを除き当事者間に争いがない。

二  問題は、再抗弁及び再々抗弁事実の存否であるが、再抗弁事実については前記第一の一、再々抗弁事実については前記第一の二において判断したところと同一である。

第三  被告鈴子に対する本件土地の所有権に基づく請求について

一  請求原因事実は、本件土地の一部につき争いがあるほかは当事者間に争いがなく、抗弁事実は、同1は認められないものの、同2の事実は当事者間に争いがない。

二  問題は、再抗弁及び再々抗弁事実の存否であるが、再抗弁については前記第一の一、再々抗弁については前記第一の二において判断したところと同一である。

第四  以上検討したところによると、原告の本訴請求はいずれも理由がないことになるから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

物件目録

(土地)

横浜市中区本牧元町三一四番七

宅地   四七九・七四平方メートル

のうち  三六四・一三平方メートル

(但し別紙添付図面のうちイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、イの各点を赤線を以て囲む部分の土地)

(編注 赤線部分は太線とする。)

(建物)

(一) 横浜市中区本牧元町三一四番七 所在

家屋番号  三一四番七

登記簿上  木造亜鉛メツキ鋼板葦二階建 居宅

床面積   一階  一二一・二二平方メートル

二階   一九・〇〇平方メートル

(二) 同所同番 所在

未登記   物置約五平方メートル 一棟

<省略>

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